野菜の育て方

化学物質は使わない。
自然をお手本として自分達自身が自然と調和して野菜を育てる。

宇宙から降り注いだ陽の光と雨で草木が育つ。草木は虫や野生動物の命をはぐくみ、食べる、食べられ、排泄するを繰り返し、役目を終える。菌類や目には見えない小さな分解者によって、役目を終えたモノ達は土に還り、その土はまた新しい命の土台となる。この完璧な自然の循環を、畑で再現するのが農家の役目です。土から生まれた作物を食べ、土から生まれた木で家を建て、土から生まれた繊維を身に纏う、人間もまた大きな自然の輪の中で生かされている存在です。

都市化が進み、人と自然が分断されてしまった今、一昔前までは当たり前だった、自然と調和した暮らしを少しずつ取り戻していくために、まずは自然の法則に従って野菜を育てていきたい。それを食べることで、身体と心の健康を取り戻し、人々が平和に暮らせる日本へ近づいて行けるのではないかと信じています。

多様性

自然の生態系は目に見えるものから見えないものまで、実に多様な生き物の生命で成り立っています。それぞれ全く違う形と役割を持って活動しているため、ときに攻撃しあい、ときに共存し合う。そういった「不安定」さや完璧ではない「揺らぎ」によって、どれか一つの種が増えすぎることがなく、様々な生き物がそれぞれの生きやすい手段で、生きやすい場所に落ち着く「安定」が生まれます。人の都合によって自然の中に作られる畑も、自然界の仕組みにできるだけ近づけることで、多様性のある環境を作ることができます。

色々な種の作物を作り、作物と共存できる範囲で草を生やすことで、生き物が集まってきて、ときには野菜にとって脅威となる虫や病原菌もやってきます。そんなときも、薬に頼ることないことで野菜自身の免疫力が発揮され、力強く栄養価の高い野菜になる。

「自然を再現する」という、シンプルだけど奥深い野菜作りに取り組んでいきます。

地域内植物循環

日本ほど植物や動物の多様性に恵まれた国はありません。四季折々の草木は温暖湿潤な日本の気候の中で旺盛に育ち、ときに雑草として邪魔者扱いされるほど。昔の農民は、そんな草木を刈って身の回りの風景を保全しつつ、刈った草木は作物を作るために無駄なく土に「還して」利用する、まさに植物との共存の叡智を築き上げてきました。雨土人はそんな先人たちに習い、邪魔者扱いされてしまいがちな畑に生える雑草、道路に落ちた落ち葉、山林に放置された竹林を利用し、地域の景観保全と農を両立させた「みんなかえる農法」を実践していきます。

自家採種

人間は子供を生んで育てることで世代をつなぎますが、多くの植物は子供を生むと、その年役目を終えた枝葉を自分の足元に落とし、枝葉の亡骸は自分のタネや飛んできたタネの命をはぐくみます。つまり、命がその土地の中でぐるぐると回る。人が野菜のタネを採種し、次の世代に繋いでいくこと。それは野菜の悠久の命のサイクルのなかに身を委ねること。人と野菜の共同作業とも言える命の営みを実践していきます。